ストアジャーナル
最終更新:2006年12月15日 13:41「ストアジャーナル」(2001年5月号)に
「オリジナリティを打ち出すための4つのヒント」を執筆しました。
先日、A化粧品店から、
「量販店と同じ商品を扱っています。あちらは20%OFFで販売していますが、
うちは定価で販売。お客様からも、中味が違うの?
という嫌味をいわれてしまいました。」と、
量販店出店により、売上低下に悩む経営者から相談を受けました。
同じ週に別のB化粧品店を訪問すると、
「売上は前年比15%アップ。近くに量販店が出店したおかげで、
集客力が上がり、通り道であるうちのお店にお客様が寄ってくれるようになった。」
という嬉しい報告がありました。
どちらのお店も、人通りの少なくなった商店街に立地し、
メーカーの販売代理店と類似しています。
立地する都市の人口は、前者が5万人に対し、
後者が1万人と後者の方が少ないにもかかわらず、
後者の売上高が伸びているのです。
同様なケースは少なくありません。
たとえば、慢性的な過当競争状態となったガソリンスタンドですら、
前年比60%増というところもあります。
また、隣同士に立地している婦人服店でも、
一方は閉店するかどうか悩んでいるのに、
隣は前年比10%増と売上を伸ばしています。
どこに勝ち組と負け組にわかれてしまう原因があるのでしょうか?
消費の低迷、量販店進出による価格競争の激化、商店街の集客力低下など、
中小小売店を取り巻く環境は、どちらに立地していても同様です。
そのような環境下で、売上不振に悩む経営者もいれば、お客さまに支持され、
売上を伸ばしているお店もあるのです。
ケースによって異なるでしょうが、こんな時代でも業績を伸ばしているお店には、
何らかのオリジナリティ、独自性を出そうという経営者の姿勢があるように思われます。
オリジナリティといってもその中味はさまざまです。
あなたのお店づくりにもヒントになるような事例を項目ごとに紹介してみましょう。
1 オリジナリティは経営者の姿勢から
まず、前述の化粧品店の事例から考えてみましょう。
A化粧品店の経営者は、「うちのDMは、料金別納で出したことがありません。
全て切手を貼ってだしています。」と言いました。
DMは、メーカーから支給されたもので、何ら工夫はみられませんが、
経営者にとっては切手を貼っていることが独自の工夫と考えたようです。
さらに、「商店街は駐車場がないから買い物しにくいという意見が多いので、
お金をかけて駐車場も作りました。」と続けました。何だか、少し自慢しているようです。
売上を伸ばしているB化粧品店では、DMに自筆のメッセージを加え、
さらに切手にも心のこもった工夫がみられました。
動物の好きな方には犬や猫、ガーデニングが趣味の方には草花、
子供のいる方にはかわいい子供のイラスト、山歩きが好きな方には富士山と
お客さまに合わせて切手を選んでいます。
このため、経営者は記念切手が発売されると必ず購入しているといいます。
また、交差点の角地で、入りずらく出にくい立地ですが、
交差点ということを最大限活かし、ショーウィンドゥにはB4の色紙で文字をつくり、
毎週別のメッセージを貼っています。
毎日1ヶ所以上商品のディスプレイを変えたり、POP広告を変えたり、
お客様を飽きさせない工夫をしています。
自然と店舗づくりやサービスにオリジナリティを発揮するようになっています。
「DMに切手を貼っている」「駐車場をつくった」と言ってそれに満足していれば、
B店のようなさらなる工夫は生まれません。
オリジナリティを発揮するために一番重要なことは、
経営者の姿勢ではないでしょうか?
「もっと良い方法がある。」と考え、お客様の声に耳を傾けること、
従業員、家族、親戚など他者からの提案、助言を素直にきくことができること。
同業他店、業界誌や専門誌、研修や講演などから学ぶことができるかどうか。
良いことは真似、自店に応用できるかどうか。
こうした姿勢を持ち続けることが、お店のオリジナリティを発揮することに
つながるのではないでしょうか?
2 品揃えでオリジナリティを発揮しよう
次に品揃えでオリジナリティを発揮するために、
日頃からどのような姿勢が必要でしょうか。
お客様から、「ここにしか無い商品がある」と喜ばれている事例より学びましょう。
北海道の輸入雑貨も扱う家具店の経営者は、
年に何回も東京や千葉県などで開催される展示会に出向き、
商品情報を漁り、仕入先を自ら開拓しています。
旅費だけで、いくつもの商品を仕入れることができますが、
それでも気に入った商品探しにお金と情熱を傾けています。
その結果、「センスの良い商品がある。」「プレゼントはここでしか買わない。」と
お客様から大評判、固定客を増やしています。
次は、早朝から行列ができるほどの人気商品をみつけた群馬県の画廊の事例です。
「まとめて仕入れれば安くしますよ」という問屋営業マンの
悪魔ささやきに乗って安易に仕入れ、売れ残りをかかえるという経験をしました。
以来、自分なりのコンセプト(同店の場合には「心を癒すオアシス」)で
仕入を厳選することにしました。
そのために、いつもアンテナを高く張っていたところ、
たまたまテレビでみた商品を気に入りました。
商品情報をどん欲に漁り何度も足を運び、県内初の代理店契約を結びました。
その結果、早朝からファンが並ぶだけでなく、神奈川、千葉からのお客がきたり、
北海道からの問い合わせがあったりと同店の人気商品になりました。
メーカーや問屋からの一方的な情報だけで仕入をするのではなく、
経営者の日頃からの関心やフットワークが独自の品揃えを可能にしています。
受け身の姿勢から一歩踏み出せば、
おのずとオリジナリティが出てくるのではないでしょうか。
3 オリジナルなサービスを考えよう
オリジナリティといってもお客さまに評価されなければ意味がありません。
さらに踏み込んでいえば、お客さまに喜ばれたいという経営者の「こころ」が
オリジナリティを生み出すのです。
老舗の造酒屋では、世界で唯一のラベルを貼ったお酒を提供し、
お客さまに喜ばれています。
お客さまが持ち込んだデザイン、写真、自筆のメッセージ、
版画、似顔絵などを和紙や希望の紙に枚数分コピーをします。
これを一枚一枚お酒の瓶に糊付けします。
全て手作りで手間も時間もかかります。
七五三、節句、入学祝い、バレンタイン、成人式、結婚式、
出産祝い、開店祝いなど多様な用途で活用されています。
1本から注文を受け付けるので、大型店にはない心のこもったサービスとして好評です。
また、婦人服店ならどこでも行われている「お直しサービス」や
「返品サービス」などもオリジナルなサービスとして
他店と差別化することが可能です。
売れ残りが少なく、季節ごとのバーゲンセールもできない婦人服店では、
「お直しサービス」を無料で行うだけでなく、
その場で直して商品を渡しています。
お客さまもそれに慣れて、結婚式に着ていく服を当日購入し、
その場で直して着ていく方もいるほどです。
「返品サービス」にも期限をもうけていません。
プロ販売員がすすめたという責任から、2年前の商品であろうと
返品を受け付けています。
このようにどこでも行っているサービスでも徹底することで、
独自サービスとして生まれ変わることができるのです。
4 明確な店舗コンセプトを持とう
自店の店舗コンセプトを一言で言えますか?
店舗コンセプトを明確にし、それを実現することが、
オリジナリティを発揮することにつながります。
無添加・無農薬の健康・自然食品を中心に取り扱っている鈴木酒店では、
エコロジーを基本コンセプトとして店づくりに
さまざまなオリジナリティを持たせています。
店舗外装は、環境を考慮し塗装ではなく、ツタを絡ませています。
店内は、段ボールを適当な大きさに切り、商品説明やPOP広告として使用。
環境ホルモン、給食問題、遺伝子組み換えなどに関する情報発信基地として
手書きの情報誌を発行しています。
健康や環境に関連した本を陳列し、無料貸し出しも実施。
店舗全体で「健康」「環境」「エコロジー」を訴えています。
また、業績を伸ばしている中堅スーパーでは、
地域住民のお役に立つことをコンセプトに可能な限りのサービスを
提供しようと試みています。
営業時間は、10時から23時まで。
宅配サービスの実施、顧客の好みに合わせた鮮魚や精肉のオーダーカット、
総菜バーなどです。
カウンターとイスを準備したフリードリンクコーナーを設置、
緑茶やコーヒーなどを自由に飲めるようにしました。
「生活情報チラシ」には、商品情報に加え、
休日診療の病院案内や鉄道時刻表の改正など、
地域のお客さまに役に立つ情報を毎月3000軒にポスティングしています。
どちらのお店も、店舗コンセプトを実現するために行っていることが、
店舗全体でオリジナリティを発揮することにつながっています。
オリジナリティは、オーナー、店長の「お客様を思う気持ち」や
「こだわり」から生まれてくるものです。
これらの実例から、あなたなりにオリジナリティを生み出すヒントが
見いだせたのではないでしょうか。
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