クライアントとともに
最終更新:2006年11月20日平成11年に「企業診断ニュース」に創業体験談を
執筆しました。
「クライアントともに泣き笑い」
「あなたに何がわかる。
こっちは修羅場をくぐってきているんだ。生意気言うな!!」
顧問先での一こまである。
私は、25歳で診断士の資格を取得、27歳で独立、
「有限会社 コンサルティングオフィス・ウィル」を設立した。
現在、独立1年半、駆け出しのひよこコンサルタントである。
これまで、顧問先指導、個別診断、公共診断、創業の相談など、
200社以上の企業のコンサルティングに関わってきた。
当然ではあるが、私は、自分より年下の経営者にお会いしたことがない。
学生起業家など、若い経営者も増えているようだが、
ほとんどの方が20歳以上も年上であった。
時には、自分の娘よりも若いコンサルタントに長年の経営を否定され、
怒り出す経営者もいた。
顧問先でも、「何がわかるんだ!!」と怒鳴られることもある。
それでも、絶対に自分の提案を曲げない私は、
経営者と激しく言い合い、喧嘩となる。
経営者は、会社を立ち上げ、その世界で生きてきた自信と
プライドをもっているのだろう。
しかし、顧問料をいただいているからといって、
経営者に迎合する気は全くない。
気に入らないのなら、解雇してくれてかまわないと思っている。
喧嘩の原因となった「新規事業の立ち上げ」は、
経営者と同じように私も情熱を傾けている。
軌道に乗せたいからこそ、真剣になるのだ。
喧嘩もコンサルタントの仕事のうちだと考える。
コンサルタントの仕事は、多岐にわたる。
「会社の再建」なんて言えば、格好が良いが、そればかりではない。
日に日に売上が減少し、涙する経営者を勇気づけ、励ますこともある。
両親との諍いで疲れた経営者の愚痴を、頷きながら5時間聞くこともある。
店主の代わりに店番をしたり、パートさんと一緒に店頭に立ち、
団子を売ることだってある。
「先生」なんて呼ばれないことが多い。
「先生」と呼んでくれるのは、非常勤講師をしている短大の学生と
診断士講座の受講生だけである。
いつも走っていて、なぜだか追われていて、
スーツはヨレヨレ、ズボンの裾は破れている。
独立する以前の想像と大分食い違う。現実は、ちょっと格好悪い。
それでもこの仕事を愛してやまないのは、
経営者と喧嘩をしながら進めていた新規事業が軌道に乗り出すからだ。
泣いていた経営者が、「これからも頑張る」と笑顔を見せるからだ。
愚痴を言い疲れた経営者が、「気持ちが楽になった」と気持ちを切り替え、
目を輝かせながら仕事の話を始めるからだ。
店頭に立ち、パートさんやお客様との交流から、
意外な会社の改善点を発見したりすることだってある。
そして何よりも嬉しいことは、ささやかではあるが、
会社の売上や利益として結果があわれたときである。
「診断ニュース」(平成11年10月号)P56掲載

